わたしのとっておき
『天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い』
中村 哲
作品概要、あらすじ
中村 哲著『天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い』(NHK出版 刊)
1984年よりパキスタン、アフガニスタンで支援活動を続ける医師・中村哲。治療のために現地へ赴いた日本人の医者が、なぜ1600本もの井戸を掘り、25.5キロにもおよぶ用水路を拓くに至ったのか?「天」(自然)と「縁」(人間)をキーワードに、その数奇な半生をつづった著者初の自伝。
(NHK出版より)
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著者の中村哲先生は、長年に渡り戦乱と干ばつに苦しむアフガニスタンで人道支援を続けられました。私は先生が赴任される前に現地から届いた手紙の翻訳の依頼を受けました。文面を通してその窮状が伝わってきて、赴任を決意された先生の凄さを感じました。その後、大洪水などの天災や、妨害、裏切り、内部対立など数えきれない人災に見舞われながらも砂漠化した大地に緑を蘇らせ、多くの命を救われました。残念なことに2019年、銃撃で命を落とされましたが、果敢に異文化の荒波の中で活躍されたその姿は、今も心に残っています。
本学で学んだ語学力や幅広い知識を生かして、海外で活躍したい人たちに。
異文化間コミュニケーションには思わぬ困難が生じがちです。150年前、本学の設立に関わった宣教師たちも大変な苦労を経験されたことでしょう。皆さんが異文化の壁にぶつかった時には「利害を超え、忍耐を重ね、裏切られても裏切り返さない誠実さこそが、人々の心に触れる」という本書の言葉を思い返してください。
青山学院大学教授
田中 深雪
文学部
コロンビア大学大学院修士課程(応用言語学)修了。大学時代から通訳・翻訳者として活動を始める。現在は青山学院大学文学部英米文学科の教授として、学部生や院生に通訳や翻訳の指導を行っている。専門は通訳・翻訳理論研究。特に、海外への渡航が許されなかった江戸時代に、何とか語学を習得し、言葉や文化の異なる人々との間で仲介人としての活動を続けていた各地の通詞についての研究を続けている。