わたしのとっておき
イカロスの墜落のある風景
ピーテル・ブリューゲル(父)*
作品概要、あらすじ
Landscape with the Fall of Icarus,Musées royaux des beaux-arts de Belgique(ベルギー王立美術館)
*諸説あり
1
1度目にしたらひきつけられる。
キャンバスの片隅で溺れるイカロス。1500年代後半に描かれたこの絵画では、ギリシャ神話のイカロスが海に墜落する悲劇と、平和に日常を営む人々が同じ場面に並べられています。報道で目にするように、地球上では災いと同時に平凡な日常が進行していることの縮図にもなっています。災いを前にしても日常を懸命に生きる人々を表現している作品と見ることもできるでしょう。この絵画を題材にした、W. H. オーデンの「美術館」という詩もあわせて鑑賞すると、より考えが深まりますよ。
高校生、大学生、大学院生に見てほしい
自分の身の回りや世の中で起きた出来事について考えたい時
青山学院大学教授
笹川 渉
文学部
東京都立大学大学院人文科学研究科英文学専攻博士課程を単位取得退学後、首都大学東京(現東京都立大学)にて博士号(文学)取得。首都大学東京 大学教育センター助教、北見工業大学工学部共通講座准教授を経て、2016年4月に青山学院大学文学部英米文学科准教授として着任。2022年度より教授。2024年9月よりヨーク大学(イギリス)客員研究員。専門は初期近代イギリス文学、英詩。主にEdmund SpenserとJohn Miltonを中心とした韻文と政治や宗教との関係に関心を持っている。共著に『緑の信管と緑の庭園』(音羽書房鶴見書店、2021年)、Spenser in History, History in Spenser(大阪教育図書、2018年)等。