わたしのとっておき
『嵐が丘』
エミリー・ブロンテ/作 河島 弘美/訳
作品概要、あらすじ
エミリー・ブロンテ/作 河島 弘美/訳『嵐が丘』(岩波書店刊)
ブロンテ3姉妹は、イギリス北部ヨークシャーの一寒村に牧師の娘として生れ育った。本書はその一人エミリー(1818―48)が残した唯一の長篇小説で、ヒースの茂る荒涼たる自然を背景とした、二つの家族の3代にわたる愛憎の悲劇。浮浪児であった主人公ヒースクリフの悪魔的な性格造形が圧倒的な迫力を持つ。新訳。(全2冊)(岩波書店webサイト)
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エミリー・ブロンテの『嵐が丘』を初めて読んだのは、15才、高校生になってまもなくのころだった。暗いばかりでおもしろいとは全く思わなかった。それが、30才を過ぎたある日、何気なく再読し、のめり込んでしまった。狂うほどただ1人を愛してしまう人間の業(支配欲や身勝手な自己愛とは、まるで異質の)に、生きるということの深淵を覗いた気がしたのだ。人は深い。罪深く、美しい。誰もそうだ。意味のない人生なんて一つもない。
そう信じさせてくれる一冊です。
このところ、自分の日常を退屈だと感じる人に
ふっと、孤独と退屈を感じたとき。人生を見切ったと感じたとき。
小説家
あさの あつこ
青山学院大学文学部卒
1954年岡山県美作市生まれ。青山学院大学卒業。岡山市にて小学校の臨時教諭を勤めたのち、作家デビュー。
「バッテリー」で第35回野間児童文芸賞受賞。
「バッテリー」全6巻で第54回小学館児童出版文化賞受賞。
『たまゆら』で島清恋愛文学賞受賞
著書に「NO.6」「弥勒」「烈風ただなか」「闇医者おゑん秘録帖」シリーズなど多数。