わたしのとっておき
交響曲第7番 「未完成」 D759
フランツ・シューベルト
作品概要、あらすじ
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18世紀後半〜19世紀に作曲された交響曲は、4つの部分(楽章)から構成されるのが普通です。シューベルトは、なにもかもなくしてしまう(ゼロ)人生の絶望感を第1楽章で、第2楽章でその救済を描きました。すると、もうこれでメッセージは伝え尽くしたと感じたのか、あとの2つの楽章を書くのを止めてしまいました。つらい出来事に打ちひしがれているひとにこそ、シューベルトが音楽に感じた「救い」を受け取ってほしいです。
音楽に興味のあるすべてのひと
皆さんが人生で深い絶望を味わい、生きることに疲れてしまったとき、同じような悩みを抱えた芸術家が、その絶望を音楽で表現し尽くし、心の整理をつけ、次のステップへ踏み出したことをぜひ知っていただきたいです。
青山学院大学教授
広瀬 大介
文学部
1973年生まれ。本学文学部比較芸術学科教授。日本リヒャルト・シュトラウス協会常務理事・事務局長。
著書に『オペラ対訳×分析ハンドブック リヒャルト・シュトラウス/楽劇 サロメ』『同 リヒャルト・シュトラウス/楽劇 エレクトラ』『リヒャルト・シュトラウス 自画像としてのオペラ』(以上アルテスパブリッシング)、『帝国のオペラ』(河出書房新社)、『もっときわめる! 1曲1冊シリーズ3 ワーグナー:《トリスタンとイゾルデ》』(音楽之友社)など。
各種音楽媒体での評論活動のほか、NHKラジオへの出演、演奏会曲目解説・CDライナーノーツの執筆、オペラ公演・映像の字幕・対訳などを多数手がける。